「ROUGH」の最後にシビれた

「大和圭介、応答せよ」

 

 

ラフ (1) (小学館文庫)

ラフ (1) (小学館文庫)

 

 

あだち充の「ROUGH(ラフ)」が古本屋で全6巻(ワイド版)そろっていて各巻100円ということもあり、購入してみた。

あだち充本人が言っているように、顔の描き分けはしていないし、はた目から見れば全員おんなじポジション同士は瓜二つなわけで、中身もどれも同じような話なんだろう、なんて勝手に思ってしまっている自分であり、タッチとクロスゲームを読んで、結局あだち充らしさ、が度を超えてハマらなければ、多くを読む必要はあるまい・・・と思っていた。

6巻程度ならば・・・と読み始めると意外にこれが面白いのです。あだち充作品はヒロインと主人公が接触して互いを悪い奴だと思わなくならなきゃ面白くない。あだち充節のような言い回しや間の取り方は大好きで、思わせぶりな発言のレスポンスにとんちのきいた言葉が出てくるのがとても好き。週刊連載感をだしてページ稼ぎをしてみたり露骨なステマをする悪い癖がなければもっと話を淡々と進めることができていいのに、なんて思うのだけどそこもまた個性なのかもしれない。っていうか、どっちでもいい。

 

幸せでも不幸せでも想像にお任せでもなんでもいいから、とりあえず読者がラストを理解できるのであれば、なんでもこいって感じのぼくですが、この「ラフ」の最後はしびれました。すごく好きです。

やっぱりこの手のシナリオにありがちな三角関係があるんですけども、そこをはっきりさせない終わり方が憎い。ヒロインの言葉の選び方がまた気持ちいいんですよね。

ラストを制したのはどっち!?っていう核の答えを出さない終わり方なんですが、それでもいいんです。引き延ばした感じがしないのがとてもグッドですよ。だって気持ちははっきりしてるんですもんね。

 

「大和圭介、応答せよ」この一言で締められるこの物語。読後感がとてもよかった。最近の中でも読後感では群を抜いている気がします。興奮の熱で一気にサラサラと執筆してるんで、内容もたいしてないんですけど、ぜひ読んでもらいたい。タッチよりもラフの方がオススメですよ。おしまい。