本と出会いたくなる漫画ー篠原ウミハル「図書館の主」

図書館に行きたくなる、もとい本を読みたくなれるぼくにとっての読書啓発のような漫画のススメ。

図書館の主 1巻

篠原ウミハル「図書館の主」

 

図書館の司書を中心に物語は進む一話完結方式の本にまつわる話。

本との出会いが人を変えてくれる、そんな風に感じられる内容で、中に出てくる本を自分も読んでみたくなる。それに加えて、自分も誰かにオススメする本を持っていたいと思わせられた。

元来、読書が好きなぼくにとって、この部類の話は大好物である。

司書のレファレンス(読みたい本を要望に合わせて探してくれる)というものを初めて知って、経験豊富な司書さんに自分もかかわってみたいと思えた。

書経験が多いということはそれだけ知識を有していることにつながる。読めば読むほど単純にプラスされていく訳ではないけど、見方は広くなっているはずだ。

知識の多い人と話すと、自分まで知識が多くなれる錯覚に陥る。それは僕の中でとてもうれしくもあり楽しくもある作用で、「今、ぼくは質が上がっている」と感じることができる。実際に頭がよくなっているとか思考回路がよくなっているかとはどうでもよい。自分が尊敬できる人にかかわれることで自分が相手から無意識に何か吸収していると思えるからだ。

最近、北海道かどこかの小さな本屋がレファレンスに似たサービスをしていて、話題になった話を思い出した。客の好きな本、最近読んだ本とそれに対する感想などを記入するアンケートをあらかじめ書いてもらって、それをもとにこういう本はどうだろうか?と提案してくれるものだ。提案といったが、料金はレファレンス込で1万円で1万円分選んでもらってそれを購入するので提案されたものは必然的に購入になるのだが。これが好評で全国から申し込みが殺到しているという。いろいろと本を知っている人に選んでもらって自分の知らない世界が広がるのはいささか楽しいことだろう。

 

主人公に近い役である、御子柴は児童書が専門。

児童書だからといって、大人は敬遠することがほとんどだと思うが、大人でも全く問題ない作品の多さに驚かされる。児童書をメインに読んでいる人間が読者層の大半を占めているとは到底思えない。ということは、前述の本屋同様、この漫画は偏った読書ジャンルを広げてくれる助けにもなるというわけだ。児童書といえど、絵本から小説まで多岐にわたるのだから、イメージだけで食わず嫌いしてはいけない。本編に出てくる作品は幼稚とは程遠い作品が多く出てくる。解釈の仕方が広いのも児童書の特徴だ。解釈の仕方が広すぎたり、解釈を限定させたりしたのが児童書の中でも少なからず存在していて、その原書を読むとまた違った内容に驚くといったこともある。児童書に限ったことではないが、可能性は無限大。

本を読むきっかけになる漫画だ。漫画なら読めるという活字嫌いも活字入門書として一度読んでみるといい。きっと読書がしたくなるはずだ。(おしまい)